〇「みずうみ」吉本ばなな 2月9日 によせて

「みずうみ」は私が一番好きなばななさんの作品のうちのひとつです。そのほかに好きなのは、「サウスポイント」、そして、「銀の月の下で」です。

 2月9日のブッククラブに合わせて、私は今、夜寝る前に少しずつページをめくっています。もう30回は読んだこの小説をまた一枚一枚ページをめくりながら、中島くんとちひろさんの淡くも切実な関係の築き方に寄り添うのは、一日の中でも至福の時間です。たくさんは読んでしまわないで、物語が持つ変化のスピードに合わせて、少しずつ毎晩読んでいます。

 ブッククラブでは、かよさんと私が半分ずつ本を選びました。この本は私が選んだばななさんの本の中から、かよさんが一番共感できるといってくださったものでした。

 私はどのばななさんの小説より、この小説の中島君の状況に共感できるのです。状況はとても違うけれど、とてもつらい体験を子供のころにしたものにとって、「好きなことだけをして生きていけるようにいつも考えている」とか、「外食より家で食べるほうが好きだ」とか、「中島くんといると嫌なことも、ごまかさないで真剣勝負になる。」とか、ちひろさんがその関係や中島くんの友達とのかかわりを「厄介だ。重い。」と思うところも、共感できます。ちひろさんはそうおもいながらも、二人の関係を大切に思い、見放せなくて、逆にどんどん好きになっていく様子や、思いつめながらも、二人で真剣な世界に入り込んでいって、光をつかみとろうとするその健気さが、とても真摯に胸を打ちます。

 闇を背負ってしまったとき、否応なく訪れる、数えきれないたくさんの障害を彼らは一つずつ自分たちの祝福として、生きなおしていきます。その途方もない努力を、努力とも思わないで、こつこつと毎日を過ごし、みずうみに旅しながら、丁寧に達成していく様子は、希望以外の何物でもなく、私にとっては、ディズニーランドよりもずっとずっと楽しいことです。

 このことを誰かと話してみたいと思いました。そんな思いとともに、ブッククラブを開催します。2月9日お題は「みずうみ」です。19時からアトリエOneではじまりますよ。お申し込みは、info@eigoone.comまで。お待ちしております。

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